14/06/24

にごりえ

『越谷真美という女』(俳優紹介)

真美は顔は整っているし、バランスの良い身体をしている。
人を思いやる器と、母性溢れる優しさを持っている
それなりに良い女だと思う。

ただ、暗い。

常に眉間に皺がよっていて目は何処となく虚ろ。
発する言葉の色が退廃的だ。
「元気ですか?」
と声をかけられても
「お前は元気なのか?」
と心配になる。

海外ツアーの最中もボソっと一言
「ひとりになりたい」
と呟いていた。大人なのに。

思えば真美の目が爛々と輝いているのを見た覚えがない。
何にワクワクし、何にグヒグヒ笑うのか私は知らない。

きっと『にごりえ』でもドンヨリとした眼で紫色の溜息をついているのだろう。

でも良いじゃないか。
舞台上では「ひとり」だぞ。
好き勝手にやりたい事をやって良いんだぞ。
終わったら家に帰って良いぞ。
カーテンコールも面倒なら出なくて良いぞ。
真美スタイルを貫け。

川村岳

14/06/23

にごりえ

『辻川ちかよについて』(俳優紹介)

まだ入団して間もないはずなのですが、10年選手のような顔をしています。

飲み屋番長です。飲み屋へ行くと、いつの間にか店員さんに代わってオーダーを取り、生ビールを運んでいます。

昨年、訳あって、ちかよ不在のなか、ちかよ宅へ泊まらせていただいたのですが、若い婦女子のお部屋に4リットルの焼酎ペットが鎮座しており、ホッピーの空き瓶がゴロゴロしており、でも、まあ、ちかよだからな… と納得した覚えがあります。

おつまみ系のおかずを作らせると絶品。世の呑み助の男性諸氏、ちかよを妻にすると幸せだろうと思いますよ! 

ちかよの楽屋鏡前はふりかけや調味料などの保存食料でいっぱい。巣をつくる人です。

まだほとんど一緒にシーンを作ったことがなく、ちかよの研修生時代は私が劇団を留守がちにしていたので、実はちかよの芝居をまともに観たことがない、と今気づきました。うん、楽しみだなあ『にごりえ』!

大久保美智子

14/06/22

にごりえ

『佐々木啓という俳優』(俳優紹介)

俳優の種類を、舞台上だけでよく見える人と、舞台上以外でも素敵な人にわけるとしたら、彼は前者に属すると思われる。まあ、日常の奴の冴えないったらない。スタイルもよくないし、背も高くない、若いのに爽やかさというものがかけらもない。絶望的な服のセンスをしていて、紫の長袖シャツに眩しいほどの黄色のTシャツを重ね、頭に白いヘアバンドをして満足気にしている。はっきり言うと変な人である。しかも、そのことを自分で知っていて、開き直り、それを売りにしている感さえある。

しかし、不思議なことに舞台に上がると、あれ?少し魅力的に見えるではないか? なんだか素敵で、次に出てくるのが楽しみになる。(まあ、毎回ではないけれどね。) なんでだろう? 彼は人前で自分を表現することの比類なき喜びを知り始めているのだろうと思う。そして、その怖さも。だから、稽古の時の彼はとても真摯で、いつも瀬戸際に立っている。逆にそれがないと、いつもの変な佐々木をお金を出して舞台上で見なくちゃならなくなる。佐々木よ。おごるな。舞台に立つ喜びとそのための苦しみは正比例するのだよ。

さてさて、『にごりえ』 という舞台でどんな彼を見ることができますやら。私もとても楽しみであります。平素はお世辞にもハンサムとは言えませんが、舞台上でどう変わってくれますやら、みなさまもどうか見に来てやってくださいませ。

倉品淳子

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