06/11/06
「演劇の亀様」
倉品淳子です。
私は動物園に行くと必ず亀の前で立ち止まり、やたらと長い時間を過ごしてしまいます。私の目には亀はなにか馬鹿デカい苦悩と葛藤を抱えてじっと中空を見すえているように見えます。
命の存在の不可思議さを模索しているのか? はたまた、檻の中にいる自分の運命を呪っているのか? 時間を忘れて見入ってしまいます。
当の亀様はきっとなんにも考えちゃいないんでしょう、その証拠にのびのびとうすらとぼけてほくそえんでいる亀を見たことがありません。
もし、亀が涙ながらに手をじたばたさせて「出してくれー!」と叫んでいたらどうでしょう? 初めは面白いけど、そんなに長居はしないと思います。
演劇にはきっとこういう観客に想像力を喚起する隙間が必要なのだと思います。でも、お手本の亀様がやっているように、どこか途中まではやんないと、なにがなんだかわからない。必要最低限。
…って一体どこ? なんてことを考えながら今日も稽古にはげんでおります。
「青い鳥」も「ファウスト」もお客様の想像力をぶわっと広げる作品にしたいなあ。なんて考えています。楽しみにしていて下さいね!