12/11/19

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その4

「《ルパム》紹介、その2」

『傾城反魂香』より その1



この物語には絵師が出てきます。
色恋の話、芸術と政治を取り巻く話が展開します。
そんな絵師たちの芸術に対する姿勢、芯の強さが、
体のニュアンスに取り入れられています。
この《ルパム》は、
芝居のオープニングに入っていることもあり、
これから展開する物語を予感させる印象もあります。


『傾城反魂香』より その2



この《ルパム》は、「熊野詣」と呼ばれています。
主人公みやが、死んでも行きたいと願った「熊野詣」。
その熊野の絵を、絵師・元信が描き、
みやの念願を叶えるというシーンです。
踊り手は、元信が描いている熊野の
様々な印象を担っています。
元信は、襖に熊野の絵を描いているのですが、
普通に考えると、二次元でしかない絵が、
みやにとっては熊野に行ったかのような心持ち。
そんなみやの心象を、《ルパム》として表現することで、
映像の効果もあって、グッと分かりやすくなっています。


『オイディプス王』より



この《ルパム》は、女性しか踊っていません。
物語のセリフのシーンと、
《ルパム》を組み合わせたシーンになっています。
物語の主人公は、オイディプス王という男性ですが、
山の手事情社版では、女性が演じるので、
女性性と物語を、どう対比させるのかが、
面白みの1つです。
そして、このシーンは、オイディプス自身が
自分の過去に疑惑を持ち始めるところでもあり、
話の筋より少し先行して、疑惑の根源である、
母と幼児を思わせる振りになっています。


小笠原くみこ

12/11/16

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その3

「《ルパム》紹介、その1」


山の手事情社の過去作品の≪ルパム≫シーンをご紹介します。

YouTubuに映像がアップ中です。
(期間限定で配信中!)
そちらをご覧いただきつつ、
こちらをお読みくだされば、分かりやすいかと思います。

『道成寺』より


この≪ルパム≫は、「逃げる」がテーマになっています。
女が嫉妬に狂い、大蛇になって恋しい男を追いかける、
男は大蛇を見て、一目散に逃げる、というシーンです。
逃げようとする動きと、大蛇を見て驚いた表情や動きを
組み合わせています。
曲の印象もあって、少しコミカルな仕上がりになっています。


『夏の夜の夢』より


舞台を銭湯、衣裳は袴で上演した
シェイクスピアの「夏の夜の夢」。
「和」の要素が全体を占めているところに、
正座で踊る≪ルパム≫です。
実は、割と単純な振りが多いのですが、
パっと動く部分と、
対照的にフワーっとゆっくり動く振りの組み合わせ方や、
踊り手が丁寧に振りを揃えているので、
踊り手の心持が伝わるというより、
観ている側が色々な想像をしやすい≪ルパム≫となっています。

他の映像も配信予定です!

小笠原くみこ

12/11/16

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その2

「《ルパム》を作ろう!」

まずは、「振り」を考えるところから始まります。

そうは言っても、何をとっかかりにすればいいのか。
そこが、問題です。

しかし! すでに、そこにヒントがあります。
どうすればいいのだろうと、悩んでいるその姿も、
すでに《ルパム》の要素になりえます。
踊るって難しいし、恥ずかしいな。
と思っている姿も《ルパム》の要素です。

ヒントはいくらでもあるんです。
たとえ、ただ立っているだけでも、
そこには何かしらの内面(言い換えれば心とか感情)と、
それにともなっている体があります。
それを、ちょっとだけ、大げさに取り出す。

あるいは、誰でも行なう行動を取り上げる。
例えば、掃除機をかけるとか、
湯船につかるとか、乾杯でグラスを合わせるなど。
日々掃除機をかける行動でも、何かが違うはず。
見たいテレビがあると思えば、チャチャっと取り組むし、
来客があるからと、入念に掃除することもある。
これを、私たちは体のニュアンスと言います。
一見同じような行動でも、内面は大きく違う。

内面が違うと体のニュアンスは違う。
体のニュアンスを変えると、内面も変わる。

意外と、自分の体と内面の関係について
知らなかったり、あるいは知っているつもりだったり。
そういうことを改めて気づいたり、
おもしろい体を発見していきながら、
《ルパム》の振りを作っていきます。

もちろん、実際のワークショップでは、
いきなり振りを作るところからではなく、
体と内面の関係を発見するためのエクササイズから
おこなっていきます。

ダンスは観るだけでいいという方も、
ぜひ一度自分の体で遊んでみませんか。

小笠原くみこ