12/11/19
社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」 《ルパム》の作り方 その4
「《ルパム》紹介、その2」
◎『傾城反魂香』より その1
この物語には絵師が出てきます。
色恋の話、芸術と政治を取り巻く話が展開します。
そんな絵師たちの芸術に対する姿勢、芯の強さが、
体のニュアンスに取り入れられています。
この《ルパム》は、
芝居のオープニングに入っていることもあり、
これから展開する物語を予感させる印象もあります。
◎ 『傾城反魂香』より その2
この《ルパム》は、「熊野詣」と呼ばれています。
主人公みやが、死んでも行きたいと願った「熊野詣」。
その熊野の絵を、絵師・元信が描き、
みやの念願を叶えるというシーンです。
踊り手は、元信が描いている熊野の
様々な印象を担っています。
元信は、襖に熊野の絵を描いているのですが、
普通に考えると、二次元でしかない絵が、
みやにとっては熊野に行ったかのような心持ち。
そんなみやの心象を、《ルパム》として表現することで、
映像の効果もあって、グッと分かりやすくなっています。
◎ 『オイディプス王』より
この《ルパム》は、女性しか踊っていません。
物語のセリフのシーンと、
《ルパム》を組み合わせたシーンになっています。
物語の主人公は、オイディプス王という男性ですが、
山の手事情社版では、女性が演じるので、
女性性と物語を、どう対比させるのかが、
面白みの1つです。
そして、このシーンは、オイディプス自身が
自分の過去に疑惑を持ち始めるところでもあり、
話の筋より少し先行して、疑惑の根源である、
母と幼児を思わせる振りになっています。
小笠原くみこ