13/10/20
いそがしい社会人のためのワークショップ第六弾 リポート5
この日のテーマは「悲しみ」です。引き続き《ショート・ストーリーズ》(寸劇)を中心に行いました。この寸劇は、短い時間の中でいかにリアルに演じられるかが勝負です。今日は参加されたメンバーの方全員が、その状態を味わって頂けたのではないでしょうか。皆さんの日常を垣間見たような社会人にしか出せない味のある作品が出来ました。
午前中行ったメニューに、いいヒントがあったようです。それは喫茶店で二人が店員にコーヒーを注文するというシーンを再現する、至ってシンプルなものです。登場するのは客2人と店員。台詞は「何飲む?」「コーヒー」「すみません」「コーヒー二つ」「かしこまりました」のみ。
まずは普通に演じ、その後〈恋人同士〉や〈友人が事故にあった後〉など設定を変えてみます。感情が違うだけで、座り方、間の取り方、目線などがガラリと変わるのが手に取るようにわかります。
メンバーを変え、今度は〈物凄い小声〉や〈わざとつま先立ちで〉など、声と体を加工してみます。講師側が何も設定していないのに、自ずと声と体に即した人間関係が生まれます。演技すると言うと、どうしても感情のことばかり考えがちですが、声や体もいかに重要な役割を果たすかを目の当たりにした時間でした。そして何気ないことでもそこできちんとやりとりしている人間がいれば、十分面白いということを。
休憩を挟み、いよいよ《ショートストーリーズ》の創作へ。三回めということもあり色々と欲も出てきたようです。限られた時間の中で、どうすれば面白くなるかギリギリまで打ち合わせしていました。「その場にいない人がいる」という設定と、皆さんから頂いたアイディアの中から、「雨・グルグル・山の手線」というキーワードを一つ選んで作ってもらいました。
さてさて、
○山の手線を何周もしているホームレス
○大切な契約を結べる日に待ち合わせ場所を間違えたサラリーマン
○友人がいつの間にか妊婦に
など、バラエティーに富んだ作品が出来上がりました。午前中の「喫茶店」エチュードの影響で、皆さんがしっかりその世界に存在しようとしているのがわかります。そのために、どれも非常に長い作品になりましたが…。丁寧に状況を把握し、思いっきり泣いたり怒ったりしていました。来月何処かのタイミングでそれを再現し、今度は同じように、又は今日以上にリアリティのある作品になるか、挑戦していただきます。
三井穂高