12/10/29
そして格闘は永遠に続く
2012年 山の手事情社公演「トロイラスとクレシダ」
無事に終了致しました。
劇場に入って、ゲネプロ(本番同様の通し稽古)を終えた後の話。
舞台では照明の当たりを調整している模様。舞台美術と照明を担当している関口裕二さんの怒号がとび、異様な緊迫感に包まれる。
「かみ(上手)、ちょいかみ!」
「いきすぎた」
「違うって!、『ちょっと』っていうのは、1ミリのことだぞ。」
1ミリのズレにも神経を使うシビアな世界。
その舞台で、役者達は常に格闘しなくてはならないのだ。
照明、衣装、音楽、あらゆる空間、登場人物同士そして古代の英雄と自分との格闘、今日来ている観客の視線、本番ごとに変わる1ミリのズレを繊細に、時には大胆に捉え、その格闘に全神経を注ぐ。
その行為を続けることが、観客の心を動かすことができるのではないか。
そう信じて、役者たちは格闘してきたと思う。
決して、楽なことではない。
終演後、舞台を見てくれた友人達の暖かい声援が、何より心の支えとなったのはいうまでもない。
そして、また明日から、劇団は格闘を続ける。
お陰様で全ステージ満員のお客様にご来場頂きました。誠にありがとうございます。
次回は来年3月「ひかりごけ」ご期待下さい。
岩淵吉能