12/08/13
番外編日誌 食生活(助っ人たち3)(6月22日)
「フルーツ切りました」
志賀さんのおだやかな声が宿舎の廊下に響く。
りんご、グレープフルーツ、バナナ、さくらんぼ、
ネクタリン、ぶどう、すいか…
日替わりで2、3種。つまみながら稽古進行ミーテ
ィング。それが朝食。
安田「1時間半基礎訓練。その後読合せの続き…」
淳子「ヴェロニカが今日から1週間いませんけど」
安田「アリーナに代役頼んだ。…ですよね」
志賀「ええ、喜んでました。ちゃんとやるでしょう」
淳子「今日から俳優が安田さんのうしろで稽古見る
の禁止にしません? 携帯でゲームとかメールや
ってるし、ばれてないと思ってんのかな」
午前中はめいめい部屋で作業、稽古の準備。
2週間目にようやく整ったネット環境のおかげで
スカイプもできる。
12:30にアパートを出る。連日30度を超える猛暑。
フェスティバルの雨がなつかしい。
近くの食堂で日替り定食。野菜スープ、メインのム
サカとパンで12レイ(300円弱)。
稽古場に冷・温水はあるが、移動用に持ち歩くペッ
トボトルの水を飲む。
ヨーロッパ全般、高級レストランでもない限り、基
本的に持込みはOK。座って、何かを頼めば、店の
ものでないケーキを食べようが、持参のビールを飲
もうが何かを言われる気遣いはない。帰りぎわ、そ
れらの食べカス、空き瓶も平気で店に放置。
淳子「昨日の稽古見てると、俳優たちどうやって動
いていいか、わからないんじゃないですかね」
安田「むずかしいことやらせたいわけじゃないの。
読合せの一環だし。リアリズムでいいんだけどな」
淳子「そう言った方がいいですよ、だったら」
安田「わかってないかな」
志賀「うーん。少し混乱してるようですね。さっき
ダリアから電話があって、夕方ロクサナとアリンが
美術の打合せをしたいそうです」
食事休憩は17時から18時の間、切りのいいとこ
ろで1時間。近所の食堂に行くこともあるが、淳
子さんがサンドイッチを作ってくれることが多い。
アパートを出る時めいめいに手渡す。お母さんか。
これが栄養管理上も時間短縮上もたいへん助かる。
おかけでこの時間を舞台美術の協議に当てられる。
22時に稽古が終わり、近くのカフェで演出助手の
ヴィチェンチウも加わり、チウクという彼の出身地
のビールを飲みながら反省会。彼の影響で瓶をラッ
パ飲み。チウクの瓶はラベルの裏にくぼみがあって、
指が引っかけられるようになっている。
大抵はビール1本飲んで終了。今日は先日見つけ
たピザレストランへ。たまたま女優のダナと帰り道
一緒になったので、彼女も誘う。
ヴィチ「シビウの俳優の演技力はどうなの。あまり
高いと思えないけど」
ダナ「ブカレストとは随分違うわね。向こうでは立
派な俳優が先生やってるし」
志賀「こっちの大学はまだできたばかりだもんね」
淳子「これから。そういうことでしょ」
結局一日中芝居の話。
食材にうるさい志賀さんや、カロリーに敏感な淳子
さん。この日本人スタッフのおかげで食生活のバラ
ンスは万全だ。
※ 写真説明
1枚目
市場のさくらんぼ売場
すずめが止まっている。
2枚目
食堂であるとともに作業場
でもあるアパートのキッチン。
3枚目
ダナ、与兵衛の母お沢役。
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