13/03/12
「ひかりごけ」稽古場日誌/「男の美学」
私は男性が苦しみ痛む姿を見るのが好きだ。
情けなくて、愛おしくてたまらない。
日常ではあまり見ることは出来ない姿。
しかし舞台上では遠慮なく見放題である。
これぞ演劇の醍醐味。
今回の「ひかりごけ」登場人物は全員男性で、
そして見事に皆苦しんでいる。
稽古を見学した際、劇中では盛んに「我慢している」という台詞が繰り返されていた。
私はふと、この「我慢している」というのは男の美学なんじゃないかと思った。
男性は女性よりも肉体的な痛みや苦しみが得意でない気がする。
その苦手な痛みを自分の中に一生懸命に閉じ込め、
女性の様にヒステリックには叫ばず泣かず、
「我慢する」と、あえて言葉にして言う。
男のやせ我慢、強がりというか誇りというか。男らしいな、と思う。
本当は全然違う解釈かもしれないけれど、
その美学が狂気に変わっていく様が私には垣間見えて、ゾクゾクした。
目の前では斉木さん演ずる西川と、浦さん演ずる船長が、それぞれ空腹と様々な想いに苦しんでいる。
そして船長は西川に向って「俺は我慢している」というのだ。
・・・いいぞいいぞ。
痛め、苦しめ、四人の愛しい男ども。
私はこっそり、ほくそ笑みながら本番を楽しみしている。
園田恵
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山の手事情社公演「ひかりごけ」
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