13/07/15

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

ブナ ズィーワ!

ブナ ズィーワ(こんにちは)!
今年は日本の梅雨を味わわなかった水寄です。

さて、私は休団していた為、シビウ演劇祭を絡めた
ツアーの参加は今回で2回目である。
4年ぶりのルーマニア。しかし、街もホテルも
記憶が鮮明に残っている。

今回書きたいのは、モルドバのこと。
モルドバがどんな国なのか、少し調べたりした。
なんと、ヨーロッパワイン発祥の地らしい。
どうりで...パーティーでの大量のワイン。
「自家製なんだよ」と大量のワイン。
スゴイ安い値段で美味しいワインをゲットした。

安田も書いていることで重複するが
『道成寺』でオープニングから笑いが起きたのは
初めてだった。
その後の私の登場では大爆笑、拍手!
気持ちよすぎて尺を長くしてやろうかと思った。
理性が止めたけど。
張りつめたシーンでは、真剣に観ている。
自分の思うままに、自由にお芝居を楽しんでいた。
その自由さに戸惑いはあったが私は受け入れたい。
「こう観て欲しい、ここで笑いが起きるのは変」
というのは、こっち側のエゴだ。
観客は自由にお芝居を観るべきだ。
もちろん、ヤジを飛ばしたり電話したりは御法度。
(そんなことは全くなかったけど)
モルドバ...もう来ないかもな...と思ったが
実はまた行きたいと思っている。
タイタス・アンドロニカスのような笑いの無い
お芝居を、どう受け入れてくれるか興味がある。
機会があったら、ぜひ。

最後に、このツアーでのトイレ事情だが
私がいた楽屋奥にあった便器と洗面台の距離が
遠すぎたのには笑った。
写真は洗面台から写している。
ヨーロッパはこういう謎が多い。
そういうところも、嫌いじゃない。

水寄真弓
※写真
上/イヨネスコ劇場のトイレ
下/シビウの本番「イオアナ」

13/07/14

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

Hell mend me

ロシアの劇団が『三人姉妹』をラドゥスタンカ劇場で上演していて、
それを見た山本さんが、
「これまでの、そしてこれからの演劇人生の最大のお手本をもらった」と激賞。
演目は伏せるが、こっちが見た別の芝居は演劇という名の拷問だった。
1幕でほぼノックアウトだったのだが、2幕にわずかばかりの期待をかけ、残る。
しかし、あまりの歌のへたさに轟沈。
俳優のへたな演奏はご愛嬌だが、歌がへただと一気に萎える。
とぼとぼとホテルに帰る。
口惜しい。
芝居というやつはあたりはずれが激しいのである。
あたったときの感動があるからこそ、劇場に足を運ぶのだが、
はずれたときのダメージがとてつもない。

しかし、最後に逆転が待っていた。
プルカレーテが演出した『ファウスト』である。
「1回観たしなあ」と思っていはいたが、前回は2幕が全然見えなかった。
2幕に客席移動があり、前の方に座らないと、移動が後回しになるのである。
これがわかっていたので、「前で観たいなあ」となんとなく思う。
会場に到着するとすでに人が溢れている。

とりあえず並んでいると、『Bee』の上演が終わった野田秀樹さんが、
扇田さんとともに列を離れるのが見える。
どうやらサイド攻撃に転じたらしい、確かにサイドから抉れば、前に出られるか・・・。
「いや、他の劇団員もいるしな、正面突破の牛歩戦術で行くぞ」と心に決め、
目一杯前に詰める。

すると、明治大学の野田先生がいらっしゃる。
流石にこれを抜く訳にはいかない。
しかし、くんくんに前に詰め、最前列をゲット。
1幕が終わり、移動を促されるやいなやショートダッシュ。
「1番手取った」と思いきや、ここでも前に野田先生。
流石によくわかっていらっしゃる。

ケレン味ある2幕も最高だったが、1幕が本当によかった。
少女を床に埋めたり、床穴からろうそくを灯したり、
本物の犬が出てきたり、炎で壁を爆破したり、
大量の人間が突如出てきたり、見せ方が次々に変わってほんとうに飽きない。

最後、また元の客席に戻ってくるのだが、
ラストのセリフはラドゥスタンカ劇場の古木さんである。
僕らの公演は日本語で演技し、舞台には英語とルーマニア語の字幕を出しているが、
古木さんはルーマニアのカンパニーに所属していて、ルーマニア人と一緒に舞台に立っているので、
ルーマニア語で演じている。
そして、『ファウスト』では英語の字幕が出ている。
古木さんのルーマニア語は、僕には聞き取ることが出来ないが、
幕切れのセリフが、英語の字幕には、「Hell mend me.」と出ている。
地獄こそが救済なのか。

もう1回観たい。

斉木和洋※写真
上/チズナディオラ要塞教会での衣装干し
下/ラズスタンカ劇場の前で

13/07/13

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

率直に感じたこと

今回のツアーは本当に大変で色々なことがあり、
書きたいことはたくさんありますが、
僕にとって役者としてはじめて参加したツアーなので、
率直に感じたことを書きます。

前述したとおり、
海外ツアーに役者として参加したのは今回が初めてで、
特に最初のモルドヴァ公演はかなり緊張しました。
本当に外国の人たちに僕の演技が伝わるのか、と。
でも本番が終わって感じたのは、
わかるものはちゃんと伝わるということでした。
外国人だから伝わりやすいとか、
文化が違うから伝わりにくいということがあるんじゃないかと思っていましたが、
そんなことはありませんでした。
このことを肌で感じることができたのは今回ツアーの一番の収穫でした。
芝居が伝わるか伝わらないかは外国人も日本人も変わらない、
外国の人のほうが少し反応が素直なだけ。
ただ日本独特のセンスというか感覚、
例えばダジャレとか擬音語などは伝えるのが難しいと思いました。

それから外国の人、
特にヨーロッパの人は芸術が盛んだから、
難しい問題を解くような小難しいパフォーマンスを好むのかなと大雑把に思っていましたが、
それもそんなことはない。
どちらかというとシンプルなもののほうに食いついてる感じがしました。
難しいか簡単かではなく、結局はわかるかわからないかでパフォーマンスを観てる。一昨年、海外ツアーにスタッフとして参加しましたが、そのときはこういったことを感じることはできませんでした。

とにかくツアーに参加して芝居に対する考えが少し深まったと思います。
この経験を生かし、来年1月の劇団本公演に臨みます。
乞うご期待!

谷洋介
※写真
上/イヨネスコ劇場の裏口にて
下/シビウの本番「聞いたか坊主」

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