13/10/17
『ジョバンニの牛乳』
毎年、えずこシアターという住民劇団で演出作品を発表しているのだが、
今年は中高年のメンバーにも無理やりセーラー服や学ランを着せて、タイムスリップを試みた。
特にどこにも発表していない私の中の裏テーマは「ばばあの嘆き」。
私が若い頃には、携帯電話などなく、待ち合わせの時間と場所をしっかり決めても
なぜか会えなかったり、電話がかかってくるのを電話の前でじっと待ってたり。
長電話して日頃はあまり怒らない父にこっぴどく叱られたり。
不便だったけれど、今となっては何者にも代え難い甘酸っぱい思い出だ。
会えないとき、それは劇的だ。欲求があって障害があって葛藤 状況がある。
これは、もうスタニスラフスキー的にも、とっても演劇。
「じゃ、昼ころに渋谷あたりで」なんていう打ち合わせで会えちゃうこの世の中。
便利だけど、会いたい気持ちが確認できない。
なんでもできちゃうから、自分の欲求がはっきりしない。
携帯電話とパソコンがない世界に戻りたい!と言っても戻れるわけじゃない。
演劇が何かできればいいんですけど・・・。
倉品淳子