14/07/10
『初舞台』
稽古もいよいよ大詰めである。7月に入り稽古場はさらに熱気が増している。
今回の公演は僕にとって劇団員としての初舞台であり、《四畳半》 を使った初の芝居である。
《四畳半》 とは山の手事情社の演技様式であり、いわば奥義である。そんな奥義を入団して2ヶ月足らずの新人にたたき込もうと言うのだから無茶な話だ。もちろんまだまだ習得には至っていない。
しかし、研修生の頃に比べれば深く物語の内容や登場人物について考えられるようになった気がする。
今回は樋口一葉の『にごりえ』。
江戸から明治に変わったばかりの怒涛の時代を生きる人間達を描いた物語である。あの時代の人々がどのように暮らし、何に価値を見出し、何に苦悩していたか。現代を生きる僕には全く分からなかったが、『にごりえ』 を読み込んだり資料を調べたりしているうちに、実は現代に生きる僕たちと苦悩していたりするものはそんなに変わらないということに気づいた。
いつの時代だって結局は金銭、男女の痴情のもつれに苦労する。だから僕たちがどこかに共通点を見出すとしたらそこだと思う。この見つけた共通点を元になんとか『にごりえ』 という作品から醸し出す世界観、人生観を映し出せたらと思う。
ともかくもう公演まで時間はない。
今自分にできることはやれることをやるだけ。
皆様の御来場是非お待ちしております。
高橋真理