14/06/25
「にごりえ」豆知識3/言文一致運動
樋口一葉の活躍した明治初期、平安時代からほとんど変わらず使われてきた文語(書き言葉)を話し言葉に近づけようとする運動が起された。
明治になって読み書きする階層が広がるにつれて、両者の違いに不便が痛感され、意思疎通にも学問習得にも便利なものにしようとしたためだった。これには学者だけでなく二葉亭四迷、尾崎紅葉、山田美妙らの小説家がそれぞれ、「だ調」、「である調」、「です調」の新文体を実作を用いて試みた。しかし当時はまだ文語体で書かれた作品も多かった。
一葉の作品も文語体で書かれており、口語体に慣れ親しんでいる現代人には読み辛いものの、詩のようなリズムのよさ、優雅さがあり、雅文(がぶん)と呼ばれている。